《MUMEI》 危険区域れおんは診察台に上がり、うつ伏せになった。バスタオル一枚。賢吾がイスから動いただけで下半身がキュンとなるほどの緊張感。れおんは笑いながら手を出した。 「ちょっと待って院長」 「何や?」 「怖過ぎる」 「大丈夫や。バスタオルは取らん」 「ホント?」 「当たり前や」 れおんは枕を抱いた。凄く緊張しているのがわかる。賢吾は理性が揺らいだ。 「お嬢。結構怖いやろ?」 「マジ怖いですよ院長。絶対ダメですよ。信じきってるからこんなカッコでいられるんだから」 「かわいいなお嬢」 賢吾は腰の辺りを指圧した。れおんはうっとりした表情で笑みを浮かべる。 「ホントだ、上手」 「これでヘタやったらただの痴漢やないか」 「アハハハ」 賢吾は脚をマッサージした。 「嘘、気持ちいい」 「お嬢。ほんまイイ脚してんな」 「ありがとうございます」 「やけに素直やないか」 れおんは目を閉じているが笑顔だ。本当にマッサージが好きらしい。 「次は仰向けや」 「嘘」 「嘘やない」 れおんはセクシーな身のこなしで仰向けになった。 「仰向けはもっと怖い」 「大丈夫や。わいは昔から、歩く理性言われてるんや」 「嘘にもなってませんよ」 賢吾は巧みな技術でれおんの脚を攻める。 「嘘、気持ちいい」 無意識に唇を舐める。れおんは甘く囁いた。 「院長、膝はやめてね」 「膝かあ」 賢吾は膝のツボを攻めた。 「ちょっと待って!」れおんは笑顔で暴れた。 「膝はやめては、膝を攻めていじめてやろ?」 「ちがーう。やめてはやめてよ」 「やめてはもっとやろ?」 「もう、変態には付き合ってらんない」 「だれが変態や?」 賢吾はバスタオルの上からおなかを触る。 「こらあ!」 れおんは笑っているが顔が赤い。賢吾の手首を掴んでやめさせた。 「油断も隙もないんだから」 れおんはベッドから下りた。 「体が無事なうちに帰ります」 「逃げるかお嬢」 和室に行きかけたれおんが振り向く。 「わいのボディマッサージ食らったらのたうち回ってしまうからな」 挑発。 「よく言うよ、そんなことになるわけないじゃん」 「お嬢なんかイチコロや」 「むかつく!」 れおんは本気で悔しがっている。 「でもその手には乗らないわよ」 「おなかよじれたら嫌やもんな」 「よじれるわけないじゃん。でもきょうはダメよ、バスタオルだから。あたしを裸にする気?」 賢吾は笑顔で粘る。 「裸にならんでも、両腕で胸隠して、タオルで下隠せば済むことや」 れおんはその態勢を想像した。 「それこそ挑発でしょう。犯されても告訴できないよ」 「だれが告訴や」 これ以上の会話は危ない。完全に危険区域に入っていると思い、れおんは素早く和室に逃げた。 カーテンを閉めるとバスタオルを取り、急いで下着をつけ、ジーンズを履き、Tシャツを着る。 カーテンを開けるとまた診察室のイスにすわった。 「院長」 「何や?」 「あのお店が危ない店と知って、あたしを生贄にしたの?」 「生贄ってまた大袈裟な」賢吾は慌てた。 「大袈裟じゃないよ。あたし手足を拘束された状態でくすぐり拷問されたんだから」 「それはやり過ぎや」 目をそらす賢吾を、れおんは下から覗き見る。 「院長のアイデアじゃないでしょうね?」 「だれがアドリアンアドニスや?」 「知りません」 賢吾は弁明に必死だ。 「何ちゅうか本中華、絶対安全保障付のスリルを味わえる店っちゅうか」 「普通じゃないですよ、発想が!」 「わいの頭普通やないねん」 「自慢しないでください」 れおんは立ち上がる。しかし帰らずに賢吾に聞いた。 「ホントによじれるの?」 賢吾の笑顔も危険区域だ。 「寝てみい」 れおんは診察台に仰向けになると、Tシャツをめくった。 セクシーなおなかだ。賢吾はエキサイトした。 「大胆な子やなあ」 れおんは笑う。 「どうぞ」 賢吾は両手を乗せた。 前へ |次へ |
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