《MUMEI》
悪い事の連鎖
あれからひと月

兄、佳祐は、海外で身柄を拘束されたらしい

長谷川開発は事実上、倒産だ
HMファンドも、負債を抱えたまま、倒産…

俺は、疑わしいが、証拠もなく、
自由の身だった

美樹が佳祐の件で事情聴取されたとき
俺が保護してくれたと話したらしい…
 
 
問題は、兄、佳祐の会社だ…
銀行、投資家、など
様々な利権者が、色々な思惑で、動きまくっていた
 
まぁ、銀行に押さえられる事になるかもな…
 
姉の貴子も出張って来てるようだが…
 
無駄だろう…
 
俺は、自分の会社だけでも十分食っては行けるが…
 
 
勝てなかったか…
 
 
俺は川崎と用賀を売却し

代官山近くのマンションに移り住んだ

これからの事を考えると
移動時間を短縮させてた方が、なにかと良いからだ
 
 
美樹「だいぶ、片付いたね」

真樹「お姉ちゃん、何もしてないじゃない…」
「私ばかり…使ってぇ…」
雅治「飯でも食いに行くか?」

中目黒にある、高級中華料理店に行った
個室があるからだ…

食事をしながら…

美樹「どう?勝てそうなの?」

雅治「…負けはないが…」「勝ちも…無いな…」

美樹「…そう…」

真樹「…」

雅治「美樹、もう少し、時間をくれ、約束は守る」

美樹「…うん…」

雅治「それと、母親の件だけど、警察も、全く掴めて無いらしい…」

真樹「…」

雅治「真樹、心配だろうが、もう少し待ってくれ…」
真樹「うん…」

明るい話は微塵もなかった…
 
真樹の様子がおかしい…
食欲もないし、元気もない…
 
美樹「ねぇ…真樹、あんた妊娠してない?」
 
真樹「……してるかも…」 
雅治「!」
 
美樹「やっぱりね…」
 
会話も無く、食事を終えた…
 
マンションに戻り、話し合いが始まった
 
美樹「中絶するなら、早い方がいいよ…」
 
真樹「…うん…」
 
美樹「産むつもり?」
 
真樹「まさか……誰の子かわからないのに…」
 
美樹「真樹、覚悟決めなよ…」
 
真樹「…うん…でも、…」 
美樹「でも、何?…」
 
真樹「お金も無いし…」
 
雅治「金の心配はいらないよ…」
 
真樹「…」
 
美樹「笹木の子だったら、産みたいの?」

真樹「ううん…そんなつもりはないよ…」

真樹が涙ぐんだ

美樹が優しく、真樹を抱き寄せた
 
雅治「覚悟決めて、処置しな…」
 
美樹「簡単に言わないで!」
「大変な事なんだよ!」
「女の子には…」
「だいたい、雅治だってねぇ!…」 

美樹が俺の胸ぐらを掴み、激怒した!
 
真樹「止めて、お姉ちゃん!」
「雅治さん、何も悪くないじゃない!」
 
美樹「…」

掴んでた手を放しながらも
美樹「…同じだよ…雅治も…」

寂しそうに言った

美樹「雅治が寝ろって言うなら、他の男とだって、寝るし…」
「雅治がしたいって言うなら、なんだってするけど…」
「私が、また、妊娠したらって、考えた事なんてないでしょ…雅治は…」
 
美樹「まして、真樹は私とは違うの…真面目な子なのよ…」

真樹「お姉ちゃん…」
 
雅治「言葉が悪かったのは謝る、けど、産んで良いことは、まず、ないぜ…」

真樹「わかってます…」
「勇気がなかっただけだから…」
「雅治さん、お金貸してもらえますか?」
 
雅治「費用は俺が持つ…」「気にしなくていい…」

真樹「でも…」

雅治「いいんだ、そうさせてくれ」

美樹「佳祐の子かもしれないからかしら?」

美樹が突っ掛かるような言い方をした

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