《MUMEI》

「あたしその頃まだ17だよ‥!?」

「駄目かなぁ──」

「ダメっしょ‥」

「う〜〜〜〜ん‥」

「何でそんなに急ぐの?」

「急いでる訳じゃないけどさ、やっぱり確実に俺のものにしておきたいっていうか──な」

「‥確実に‥?」

「だって──誰かに取られ兼ねないし」

「へっ‥?」

「だろ?」

「取られたりしないから」

「いや、いつ狼に目をつけられないとも限らないし」

「狼‥?」

「ぁぁ、子羊を狙う狼が──」

「な‥何か恐いから止めて‥」

千代子は、

怯えたように言った。

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