《MUMEI》

「第一、あたしは先生以外の男に惚れたりしないから」

はっきりと、

千代子はそう言った。

‥まっすぐに

俺を見て。

「だから心配しないでよね」

「──ぁぁ、分かった」

千代子なら、

大丈夫だろう。

見知らぬ狼に騙されたりはしないはずだ。

──でも。

やっぱり、

逸る気持ちを押さえられない。

「シロ?」

「わがままだよなぁ、俺‥」

「別にわがままじゃないよ」

「? じゃあ、卒業したら──」

「ううん、あたしが17になったら」

「ぇ」

俺は、

耳を疑った。

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