《MUMEI》

「──そーれーでーなんだけどな?」

「?」

「何か食べて行くか? お腹空いただろ──あっちこっち歩き回って」

「そうでもないけど──」

「遠慮するなって」

「だからほんとに空いてないんだってば」

「じゃあ家まで送って行くな」

「ぇ‥別に大丈‥」

「いいからさ」

「も〜〜〜‥」

「そんな顔してるとさらわれるぞ?」

「!?」

「可愛いから気を付けろって事」

「なッ‥」

千代子はまるで、

一気に湯立ったみたいな反応をした。

「だ‥だから有り得ないからっ」

「いや、有り得る」

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