《MUMEI》

千代子は、

何だかんだ言いながらも──

俺と並んで、

隣りにピッタリとくっついて歩いている。

肩を抱いたら、

ビクッとして‥

でも──

満更でもなさそうだった。

「寒いか?」

「ううん、シロあったかいから全然平気」

「そうか──」

「ぅわッ‥、ちょっ‥痛い痛い」

「ぁ‥悪い」

どうも、

力加減が分からない。

あんまり強く抱くと、

千代子が痛がる。

けど、

優しく抱くのは──

何だか物足りない。

「ねぇシロ」

「ん‥?」

「楽しかったよね、今日」

「ぁぁ──楽しかったなぁ」

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