《MUMEI》 Epsode1-2あれから慌てて準備を済ませ、2人は学校に向かった。 電車の中は新学期を迎えた学生達で溢れていた。人より身長の高い雄斗は得に問題ないのだが平均とあまり変わらない身長の雅也にとっては結構辛いものがある。さらに細身なのもあってどんどん押し込まれて行き押し潰されている状態。吊り革に捕まることも出来ず、元々人混みが苦手な雅也はフラフラしていた。 すると雄斗は次の駅で人が降りたのを利用して雅也を引っ張り壁側に寄ると壁に雅也をもたれ掛からせその前に自分が立ち壁となった。 雅也はあまりにも突然の雄斗の行動に驚き目を見開いて見つめると雄斗は笑みを浮かべて 「雅也キツそうだったから。これなら少し楽だろ?」 「…うん、サンキュ」 少し恥ずかしさを感じながらも雄斗の優しさに雅也もまた笑みを浮かべた。 雅也の自宅から学校へは1時間ほどかかる。その間様々な学校の生徒に出会う。雅也も目立ちやすい端正な顔立ちをしているため注目されるのだが、雄斗はまた別格である。 どちらかというと綺麗な顔立ちで女性的な要素を持ち合わせている雅也に比べ、雄斗は切れ長の目に細いのにきちんと筋肉の付いた身体。そして180を越える身長と男性的な魅力をすべて持ち合わせているといっても過言ではない雄斗は、どこを歩いていても注目される。もちろん雅也を守っている今でさえ、そばにいる女子高生達の注目の的となっていた。 「あの人マジかっこよくない!?」 「身長めっちゃ高いし!」 「てか顔ちょータイプなんだけど」 あちこちから聞こえる声に雅也は自慢に思う半面もやもやする気持ちが沸き上がってきた。仮にも雄斗は自分の恋人なわけで、そんな彼が褒められるのは嬉しいことではある。しかし、いくらカッコイイからといってもやはり自分の側で色々言われているのを見ると辛いものがある。 どんどん気分が滅入って行った雅也は俯き、それに気づいた雄斗が声をかけた。 「雅也?気分悪い?」 しかし雅也は首を横に振るだけで答えず、それ以降2人は一言も話さずに学校に向かった。 前へ |次へ |
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