《MUMEI》
Epsode1-3
教室に着いても雅也は話をすることもなく自分の席についた。雄斗はどうしていいのかわからず、雅也について隣にある自分の席に座った。
雄斗が席についてすぐクラスメイトの美佐が近づいてきた。

「雄斗おっはよー!」

「あ、おはよ。」

「なにー、テンション低いじゃん!」

「いや、そんなことないけど?」

「てかまた雅也と来たんだ?仲いいねぇ……」

「あぁ…まぁ……」


雄斗は雅也を気にしながらも美佐を追い払う訳にも行かず会話を続けた。
一方雅也は電車のモヤモヤに美佐の存在がプラスされ苛々しながら自分の机に突っ伏せていた。
雅也が美佐の存在に苛々するのには訳があった。美佐が雄斗を狙っているのを知っていたからだ。
美佐は明るい性格故に誰とでも仲良くなれる。その上で男好きな部分もあり、自分の狙った男へのスキンシップが激しいのだ。そのため雅也は気が気ではなかった。
自分は男であるため何時雄斗に捨てられるかわからない不安に刈られている。美佐はそんな不安をさらにつのらす要因のようなモノだった。
"もし、美佐が雄斗に告白したら…"
"もし、雄斗が美佐を選んだら…"
"もしかしたら、フラれる…"
雅也の中にはそんな気持ちが渦巻き怖くて仕方なかった。
そんな思いも有り、誰かと絡む気にもなれず雅也は昼まで顔を上げること無く過ごした。

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