《MUMEI》

「そだ‥気になってんだけどさ──」

「何だ?」

「あたし達、結婚したら家とかどうすんのかな、って──」

「ぁー、家なぁ‥」

「やっぱ一緒に住むのはマズイ‥よね?」

「──いや、取りあえずアパート借りてさ」

「バレたらどうすんの‥!?」

「ん‥まぁ‥その時はその時だな」

「ぇぇ‥」

千代子は呆れたように言って、

足元の小石を蹴った。

「ぁ‥熱とかほんとに大丈夫?」

「おう、風邪なんか吹っ飛んでどっかにいっちゃったからさ」

「嘘じゃないよね‥?」

「嘘じゃないって」

「無理もしてない‥?」

「ぁぁ、してない」

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