《MUMEI》
気ままな彼女(氏)?
「フフッ…思いだした?」ピタリと動かなくなった俺を見て竜崎が聞いてきた。「少し…でもあれはっ!」「お酒の勢い?」
「う……」
言い訳の先を言われて、もう何も言い返せない。
「おれさぁ、一個聞きたい事あんだけど。なんで途中で帰ったの?あの後大変だったんだから。」
「…イラついて。」
「なんで?」
「……………」
「じゃあ…誰に?」
「女。」
「女?」
「お前のっ、竜崎の隣にいた女だよ!ベタベタくっつきやがって!お前もお前だ、ニコニコしてっ!!」
あの時の感情が甦ってきて俺は声を荒げた。
「な〜んだ、ヤキモチかぁ。」
「ちがっ…くないか。そうだよ、妬いてたんだよ!」ついに認めてしまった。ずっと気付かないフリしてたのに。
「あんなの演技に決まってんじゃん〜」
「演技?」
「そ♪沢村君を落とす演技だよ。」
「あ?オィ!ちょっ…」
竜崎は俺をベッドに押し倒し、唇を重ねてきた。
「おれ、駅で見た時から一目惚れしてたんだぁ。でもまさかこんな早く落とせるなんて。」
言ってる事がメチャクチャでも、無邪気な笑顔で見つめられたら怒る気がしなくなった。
「はぁ…どこまでも身勝手な奴だな。」
竜崎の頭を撫でながら、俺達はもう一度唇を重ね合った。
―終―

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