《MUMEI》
長谷川 瑠美視点
「瑠美、今日は矢上先輩と別行動なの?」

「あ、うん。『たまには友達とも遊びな』って言われて」

「へぇ、そうなんだ」


友達はアッサリ納得した。


でも、私は正直納得できなかった。


(普通は彼女優先よね?)


現に、校内はカップルが目立っていた。


(やっぱりアレがまずかったのかな)


思い当たる事は、一つだけ。


矢上…


真司先輩が特別合宿のメンバーに選ばれた時


私は、離れたくなくて、雑用係として、かなり強引に付いて行ったのだ。


真司先輩はそんな私を、呆れたような冷めた目で見ていた。


真司先輩は、サッカーが好きだ。


デートもサッカー関連の場所ばかりだし


自主トレもよくしている。


だから、特別合宿を誰よりも楽しみにしていた。


(きっと邪魔されたと思ったんだろうな)


私は彼女なのに、サッカーには敵わないのかもしれない。


(双子の王子より、真司先輩を選んだのに)


私は不安でいっぱいでだった。


だから


劇は見たかったが、真司先輩がいるであろう体育館には、行けなかった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫