《MUMEI》

千代子と別れて、

俺は自分の家に向かっていた。

「───────」

「カスガイ先生〜!」

「‥ぇ」

この声は‥。

「三谷‥先‥生‥」

「どうしたんですか?」

「ぃ、ぃぇ‥今‥家に帰る所だったんです‥」

「そうなんですか──」

「はい‥。あ、の‥三谷先生はどうしてこんな所に‥」

「あ‥、実はちょっと道を間違えて──」

「道を‥?」

「私方向音痴なんですよ──」

「そう‥なんですか‥」

「そうなんですよ〜、もう困っちゃって」

「案内しましょうか‥? 何丁目か分かれば‥」

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