《MUMEI》 危険な勝負唯の顔から笑みが消えた。 「邪道?」 店長の顔が怖い。れおんは、ここで怯んではいけないとばかり、反論を続けた。 「あたしは、まじめなマッサージが好きなんです。そっちの技術を追求しないで、そんなヤらしいほうに走るのは反対です」 唯は内心では感嘆していた。全裸で手足を拘束されて完全に無抵抗の状態で、これほどきつい反論ができるとは。 「でもね、れおんチャン。旦那さんとうまく行ってない主婦にとって、拷問エステコースは夢のような快楽よ」 「なぜです?」 「スリリングだし、イケメンにメロメロにされて。こんな快感を味わえるなら不倫をする必要もない。だから浮気のお手伝いじゃなく、不倫防止に一躍買うでしょう」 れおんが呆れ顔をすると唯は畳みかけた。 「あなたは若いからいいわよ。かわいいからモテるでしょう。主婦のいけない願望にケチをつける権利はないわ」 「主婦がもりやすさんに恋をしてしまったら、店長は責任を取れますか?」 唯は、れおんの下腹部に人差し指を乗せると、そのまま秘部の周辺をぐるぐる回った。これは怖過ぎる。 「店長が意見を聞かせてほしいって言ったんですよ。心外な話だとそうやって脅すんですか?」 唯はれおんの度胸に感動しながらも、素直に意見が聞けない自分を感じていた。 「あなたの理屈は正しいはれおんチャン。じゃあ次は、体でその正しさを証明してちょうだい」 れおんは身構えた。 「どういう意味ですか?」 「私は体を張った意見しか取り入れない。れおんチャンが私にマッサージされても、理性が飛ばなかったら、検討しましょう」 「ちょっと待ってください」 れおんは身じろぎした。いくら何でも話がおかしい。 「理性が飛んじゃうほど気持ちいいマッサージなら、受けてみたいという女性は多いはず」 「拷問エステコースがですか?」 「そうよ。れおんチャン。理性が飛んであんあん悶えたら、さっきの意見を語る資格は失うでしょう」 納得が行かない。れおんは唇を結んで横を向いた。 「私に何をされても平気でいられたら、私の負けね。どう。この勝負、受けてみる?」 「受けませんよ、意味がわかりません」 「逃げるの?」 れおんは迷う。どうしたものか。しかし万が一本当に理性が飛ぶほどメロメロにされたら、耐えがたい屈辱だ。 「れおんチャン。拷問エステコースの利点はね。あなたがNOでも、勝手にゴングを鳴らせるってことよ」 れおんの顔が曇った。 「手足を縛られているんだから、私が攻撃を開始したら、受けて立つしかないじゃない」 れおんは胸のドキドキがさらに激しくなってきた。万事休すか。 「それとも、意見を撤回する?」 れおんは唯の顔を直視した。 「しません」 唯の目が本気になった。 「そう。じゃあ行くわよ」 いきなりクリトリスを直撃。 「あっ、ちょっと、くうう!」 早くものけ反るれおんを見て、唯は氷の微笑。 「嫁入り前の娘が、理性飛ばされるのも酷だからね。降参したら許してあげるわよ」 れおんは凶器の手から逃れようと暴れるが、無抵抗の身ではどうすることもできない。 容赦なく胸と秘部を同時に攻められ、腰が浮いてしまった。 「くうう、くううう…」 「気持ちいいんでしょう。降参しちゃいなさい。降参は、意見を取り下げますって意味だからね」 悔しい。れおんは歯を食いしばって耐えた。 「頑張るじゃない。じゃあ、ここは?」 禁断のGスポット。 「あああ、ちょっと…」 れおんは目が泳いでしまった。唯はそのまま落としてしまうつもりで攻め続けた。 (ダメだ、無理…) ドアが開く。 唯は手を止めて振り向いた。マキだ。 「オーナーから急ぎの電話なんですけど」 唯はベッドから離れた。 「マキちゃん見ててあげて」 「はい」 店長が部屋から出ていった。一難去ってまた一難。それともマキも拷問エステコースの演出の一つか。 目が合う。悪魔の笑顔だ。 前へ |次へ |
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