《MUMEI》

「千代子ー、どうだ? 出てこられるかー?」

「‥うん、ぃ‥今‥行くから」

ドレスなんて着たの‥

小さい頃の記念写真以来だな‥。

「──おっ、似合う似合う」

「ほんとに?」

「ほんとほんと」

「変じゃないかなぁ」

おう、似合う似合う」

ポンポン、

と頭を撫でてくる先生。

「さぁて、行きますか」

「もう行くの‥?」

「大丈夫だって」

「‥‥‥‥‥‥‥」

どうしようって位、

心臓が高鳴って。

それでも、

あたしはワクワクしていた。

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