《MUMEI》

──祭壇に続く、

赤いカーペット。

聞こえてくる、

オルガンの音。

うるさい位の拍手。

2人分の、

鼓動。

「───────」

横を見上げたら、

そこには先生の優しい笑顔があって。

──あたし、

ほんとに先生と結婚するんだ。

今日、

この場所で──。

「千代子」

「ぇ」

「絶対幸せにしてやるからな」

「‥ゎ‥分かったから‥」

そんな事を小声で話しながら、

あたし達は、

祭壇の前に立った。

──けど。

先生は牧師が台詞を言わない内に、

あたしのベールを捲った。

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