《MUMEI》

タロウへ




お前を最期まで責任持って飼うと約束したのに、先立つ私を許しておくれ。


じいさんが死んでから、生きることに何の意味も持たなくなった私のもとに、お前は現れた。


じっと私を見つめ、家の前で座っているお前を見たとき、お前はあたしのために現れたのではと思ったよ。

毎日何にも思わず生きてきた私だったけど、タロウのおかげで、また生きるのが楽しくなったんだよ。


じいさんが死んだ悲しみを、タロウ、お前が、忘れさせてくれた


傷を負ってまで、私を守ってくれたこと、本当に嬉しかったよ。


痛かっただろうに、泣いてる私の横でお前は何故か誇らしげにしていたね。




タロウ

人間に捨てられた悲しみ、辛さ、苦しみ、憎しみ、

たくさんあるだろう


けれど、私はタロウを捨てた人間に、少しだけ感謝するよ


タロウに、出逢えたのだから。



ひどい人間ばかりじゃないよ。優しくしてくれる人間も、きっといるから。



タロウ、先に天国に行ってるから、お前が死んだら、
また、一緒に散歩しようね。

ありがとう、ありがとう、タロウ。

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