《MUMEI》 暫くして、 先生はあたしを降ろしてくれた。 それから、 指輪が‥ ゆっくりと左手の薬指にはめられる。 先にキスされたから‥ 何か順番が逆な気もするけど‥。 「?」 「‥ぃゃ、何でもないから‥」 「本当か?」 「うん」 順番なんかどうだっていい。 どっちが先でも── 幸せの量は減らないし。 「──シロ」 「?」 「ありがと」 こんなに幸せだって思ったのは、 今日が初めてだ。 たぶん、 これ以上の幸せなんかない。 ──あたしは今、 最高に幸せだよ。 先生──。 前へ |次へ |
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