《MUMEI》

みんなから祝福されて教会から出たあたし達は、

降って来る紙吹雪や、

眩しい太陽に目を細めてた。

両手に抱えた花束が、

何だかキラキラして見える。

「──千代子」

「?」

「ほら──ブーケトス」

「ぇ?」

「後ろに向かって投げるだけだからさ、簡単だろ?」

「ぁ‥分かった」

あたしは、

花束を背中越しに後ろに投げた。

当たりがざわめく。

「──ぁ」

花束を受け止めたのは、

詩織さんだった。

「おー、次は詩織の結婚式だな」

「うん、もう彼氏いるしね──」

詩織さんの結婚式には、

今度はあたし達がお祝いしてあげなきゃな──。

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