《MUMEI》
龍視点(190・191)
(畜生! ダイの野郎!)


吾妻高校の文化祭に行くなんて言わなきゃ良かった。


『男一人でも普通に行けるよ』


そんな言葉を信じなきゃ良かった。


(ゼッテー自分が仕事で来れねー嫌がらせだ!)


やたら可愛らしい内装に、動物の耳や尻尾がついた店員


その空間に、俺は浮きまくっていた。


しかも、文句を言いたくても、ダイの職場は病院


つまり、携帯にかけても出ないのだ。


(まぁ、メシはうまかったけど)


俺は椅子から立ち上がった。


「おかえりですかわん?」

「あぁ」


話しかけてきたのは、俺を案内した犬耳のガキだった。


田中祐也主演の劇の影響か、気付いた時には客は俺一人になっていた。


悪目立ちする事間違い無しの俺は、後ろで見るつもりだったから、のんびりしていたのだ。


そして、いつの間にか店員もこのガキだけになっていた。


(こいつ怖がらねーな)


なかなかいい度胸だが


「なぁ」

「何だわん」


会計を終えた俺は、素朴な疑問を口にした。


「何で中坊が高校の文化祭で働いてんだよ」


本当は、小学生かと思ったが、さすがにそれは無いと思ったから、中坊と言ってみた。

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