《MUMEI》

ニコッ


ガキが笑う。


ヘラッ


(つられた)


次の瞬間


ガシッ


「うおっ!?」


俺の体が宙を舞い


ダンッ!


天井が見え、背中に痛みが走った。


「ざけんな! 俺は高三だ!」


俺を見下ろすガキ。


ガキの一本背負いが見事に決まったのだと理解するまで、時間がかかった。


(コイツ…強い!)


「な、なぁ!お前!」

「お前じゃない! 俺は政宗(まさむね)!大蔵政宗だ!」


(お、男ラシー名前!)


見た目小動物なガキのくせに。


(と、それはともかく、スカウトだ!)


「なぁ、三年て事は卒業後の進路決まってんのか?」

「何でお前なんかにそんな事言わなきゃならないんだ!
俺はこれから劇見に行くんだから、お前と話してる暇なんか無い!」

「あ、俺も行く!」

「ついてくんな!」

「嫌だ!」


(誰が逃すか、期待の新人を!)


俺は政宗を追いかけた。






…政宗が、警察官を目指していると言った時


軽くショックを受けた俺の脳裏に


『●のおまわりさん』が流れた。


(でも俺は諦めない!)

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