《MUMEI》
侵入!
現在8時30分。

「実羽はどうする?」

千秋は今電話中だ。

「うん。行くけど。帰れるかな?」

受話器を通して実羽の声がする。

「多分大丈夫だ。」

「9時・・・だよね。」

「ああ。」

「陸ダイジョブかな?」

実羽は呟いたような小さい声で言った。

「怖かったら・・・。来なくてもいいんだぞ?」

「ありがとね。でも大丈夫。陸のために私も行く。」
「そうだ。迎えに行くから1人で行くなよ。」



そう言って電話は切れた。






9時7分。

「はぁはぁはぁ。」

千秋も実羽も息を切らしている。

「間に・・・合ったぁ・・・?」
「イヤッ間に合ってないからっっ」

石川兄弟に即突っ込まれた実羽は

「ごめんなさい」

と頭を下げている。




9時15分。

集まったのは、紺、壱、実羽、千秋、の4人だ。マキはとうとう来なかった。

「しょうがねぇな。」

「マキはああ見えて怖がりだからなっ」

石川兄弟はスポーツドリンクを飲んでいる。
実羽はスポーツドリンクをじーっと見つめていた。

喉が乾いたんだな。千秋はそんなことを思いながら歩いていた。

「早く校門乗り越えちゃおうゼ。」

紺を先頭に次々にのぼっていく。

「おい。大丈夫か?」

石川兄弟は実羽に手を差し伸べる。

「2つもいらないよ。」

そう言って実羽は千秋より綺麗に校門を乗り越えた。

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