《MUMEI》

通路をはさんで真向かいの牢獄には、粗末な腰布だけを身につけた、みすぼらしい生き物が入れられていた。



それは先ほどテイラーと一緒に捕まった原始人の男だった。



男は鉄格子を両手で握りしめ、血走った眼でテイラーを見つめている…。



彼はテイラーが身につけている銀色の宇宙服を見て、不思議そうに顔を傾げていた…。



テイラーも原始人をじろりと見やる。



(お前は誰だ?……どこから来たんだ?


…なぜ猿に追われていたんだ……?)



自分と同じ人間であるはずのこの男に対し、様々な疑問が頭に浮かんだが…



テイラーはその疑問を問いかける気になれなかった。

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