《MUMEI》
愛は会社を救う(72)
オフィスビルの屋上に上ると、城下町が一望できた。
市街地から遠くなるにつれ、特徴的な黒い甍屋根の家々がひしめくように並んでいる。
その先には海岸線に沿って防風林が横断し、そのまた遥か遠くには水平線が霞んで見える。
快晴の空の下、なだらかな新緑の山々を背に、私は手すりにもたれつつ初夏の海風に吹かれていた。
人間関係の、秘密裏かつ劇的な再構築…
処方箋はもうできている。
その薬が効くか否かは、オルレアンの乙女のように淳良な、一人の女性の手に委ねられていた。

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