《MUMEI》

村上に連絡を取り、
引き受けると伝えると
早速手続きをと…

日曜だというのに
全て段取りがなされてた…
弁護士の事務所で、一通り確認し、契約を交わした

俺は、自社の役員を、呼び出し、月曜の朝イチで、動けるように、手配した
 
 
数時間の仮眠の後

朝イチ番に、現金を振り込んだ…

37億円……

兄、契約の不動産の殆んどを、買い取ったのだ…

転売しただけでも、かなり、利益はでる…
が、それが狙いではない…
事後処理を、役員達にまかせ、
俺は、美樹を連れ、鎌倉に向かった
 
 
高台にある、一軒の、古びた家…

美樹「…ここって…」
美樹の表情が曇った
 
「海が見えるのよね…」

雅治「晴れてれば、富士山も見えるだろ」

美樹「雅治、知ってるの?」

雅治「何度か、来てる」

美樹「…そう…」

鍵を開け、中に入る

美樹「思い出したくない事まで…思い出しちゃうな、…」

雅治「佳祐はここに、ハーレム作ってたんだろ?」

美樹「…そんな、生易しい所じゃなかったよ…」

雅治「…」

美樹「ねぇ…何を探してるの?、出来れば早く出たいんだけど…ここから…」

雅治「そんなに嫌か?ここが…」

美樹「…」

雅治「話してくれ、…」

美樹「えっ…」

雅治「早く、話せよ…」

俺は、捜し物をしながら、美樹に言った

美樹「…ここに、捕らわれてたのよ…私は…」

雅治「調教されたのか?」
美樹「…そうよ…」

雅治「一番嫌な思い出は?」

美樹「…大勢の前で…排便させられた事かな…」

雅治「…」

美樹「その後、お尻を調教されたわ…」

雅治「そんなに、嫌な事か?」

美樹「…男達に、凌辱されるだけなら…」
「今の私なら、ただの昔話しだけどね…」
「…」
「同性からのイジメや、侮辱は……」

雅治「…そうか…」

いくつもの部屋を探してまわってた……無い……

美樹「…その部屋は、入りたくないな…」

雅治「何で?」

かまわず、扉を開ける

壁に血痕が…染みになり

手の平の跡まで残ってる…
美樹「…死んだらしいよ…ここで…」
「当時のままなんだって…」

壁に残る、手の平の跡に、手を、合わせた…

美樹「…雅治…祟られちゃうよ…」

雅治「俺の、母なんだ…」
美樹「えっ?!」

雅治「ここで、死んだのは……」

美樹「!!…」
 
 
棚から、アルバムを出した…
写真は殆んど切りとられていた…

残ってるのは、母、1人で写ってる写真だけだった…
俺は、アルバムを持ち帰る事にした…

母の写真…

一枚も無いな…俺の手元には…
 
 
帰りの車の中

美樹「ごめんなさい…」 「祟られるなんて言って…」

雅治「気にするな、祟られても、仕方ない…」
「…親不孝だったからな…」

美樹「……」

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