《MUMEI》 「ねぇ、妖精探したのも覚えてる?」 「──ぁぁ」 絵本で見た妖精を、 那加は、 絶対見つけるんだ≠チて言って‥ ブナ森に俺を引っ張って行ったっけ。 何でも、 その妖精を見つけると‥ 願い事を叶えてくれるらしくて── 那加は、 躍起になっていた。 けど勿論、 妖精はいるはずもなくて。 那加は半泣きになりながら、 それでも探すのを止めなかった。 どうしても、 叶えて欲しい願い事があったんだと、 言っていた。 『ひなたとずっといっしょにいさせてください、っておねがいするの』 それを聞いた時、 俺の心臓が── トクン、 と高鳴った。 前へ |次へ |
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