《MUMEI》

「ふぅん‥」





返ってきた返事は、

ただそれだけだった。





「ぇ‥?」





ポカンとする俺の手から、

那加はゼリー飲料の容器を取った。





「ちょっとならいいでしょ?」

「いや、全部やるよ」

「?」

「やるから、全部」

「全部なんか飲めない」





那加はキャップを開けて一口飲んでから、

俺にそれを突き返してきた。





「はい、後は日向の分」

「ぃゃ、だから俺は──」

「飲みなさい」

「‥ハイ‥」





命令は、

絶対‥。





那加には、

逆らえない俺──‥。

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