《MUMEI》

なづきは佳代に英訳の宿題を解くのを手伝ってもらおうと淡い期待を抱きつつ部室へ行く。


荷物だけ置いて人がまだ入っていないことを確認。

画材室へ入る。
電気が漏れている。
嫌な予感が……


「あ、マゼンダ!」

  ―――――的中。
なづきは知らんぷりして
ルナの横を通り過ぎた。

「ねぇー、まだ掃除終わってないから中にいない方がいいんじゃないかな。」
ルナは椅子から立ち上がり、なづきの足元に転がっていた椅子を起てる。

なづきは無意識に座っていた。
向かい合う、面接のようだ。
渇いてない油絵の具の香りが鼻につく。



そういえば
ルナも何か匂う。

少し甘い、酸っぱい

     静かなニオイ。
ルナといると五感が休めない。

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