《MUMEI》

「お待たせ──日向君」

「スイマセン‥、俺‥部外者なのに──」

「部外者なんかじゃないわよ、ここは病院なんだから──病人を看護するのは当たり前だもの」

「──ありがとうございます」





何だか、

心が暖かい。





「──ねぇ、那加ちゃんも食べる?」

「あたしはいい」





那加は、

また窓の外を見ている。





「桜好きだったわよね──那加ちゃん」

「綺麗だから。‥でもすぐ花びら散っちゃうけど」

「もう暫くは大丈夫みたいよ」

「でもいつかは散っちゃうでしょ?」

「そうね──、でもまた春が巡ってくれば見られるわ」

「そうだけど‥」





那加は、

口を尖らせた。

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