《MUMEI》

「那加‥そろそろ、放‥」

「やだ」

「少し緩め‥」

「やだ」

「少‥」

「やーだっ」





那加は、

俺に抱き付いたまま離れない。





まるで、

磁石でピッタリくっついてしまったかのように‥。





「那加、本気で痛‥」

「放しません」

「‥‥‥‥‥‥‥」





どうする‥

俺‥。





いや‥

那加の腕力は半端じゃない。





こんな華奢な体のどこに‥

こんな力が秘められているんだろうな‥。





「‥ひなた」

「どう‥した‥?」

「──治って‥良かった」

「ぇ」

「良かった。日向の熱下がって──‥」

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