《MUMEI》

「‥‥‥((せ‥))‥先生‥っ」

「‥ぇ、卯月──お前どないしたんや‥?」

「私‥」

「‥?」

「私‥‥‥」





 ‥それ以上、続かない。





 声が、詰まって‥。





「卯月‥」

「すいません‥やっぱり‥今度にします」

「卯‥」





 先生が私を呼びかけた。





けど‥もうその時‥私は逃げ出していた。





逃げたくない、ちゃんと言わなきゃ、そう思っていながら‥私は、逃げてしまった。





こんな事、したくないのに‥。

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