《MUMEI》
「誰かと話してた？」





那加はストローを一旦口から放して、

そう訊いてきた。





「やけに遅かったじゃない？ ジュース買いに行くだけにしては」

「ぁぁ‥、佳代子さんと──」

「～～～～～～‥」

「悪い‥」

「別にいいけど？」

「スイマセンでした‥」

「〝いい〟って言ってるじゃない」

「──佳代子さん、褒めてた」

「ぇ？」

「那加の事──」

「あたしの‥？」

「ぁぁ」

「‥嬉しくなんかないからね‥？」

「ぁぁ──分かってる」





そう答えながら、

俺は笑いそうになるのを必死に堪えていた。





「ちょっとぉ、何がおかしいのよ」

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