《MUMEI》
ダブルシークレット
柳田より先に教室に戻ると、案の定真由子が駆け寄ってきた。
「何処行ってたのよ!すぐ戻って来ると思ったのに」「ゴメン!パン売切れちゃってて、コンビニ迄行ってたの。」
私は嘘をついた。さっきまで柳田と一緒にいたなんて口が裂けても言えない。
「だったら連絡位してよ〜携帯持ってんだし。」
「あ…」
私は握っていた携帯に目をやった。
「まったく…次はちゃんと連絡してね!」
真由子はなんとか許してくれたが、私は嘘を付いた罪悪感で一杯になった。

でも…柳田の居場所、教えたくない……

この何とも言えない感情に私の心は締め付けられた。
この日、二つの秘密を知る事になった。
一つは真由子が柳田を好きだという事。
もう一つは休み時間、柳田はいつも屋上に居る事だ。

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