《MUMEI》
メール
 何かすっきりした気持ちで階段を下りようとした時、ポケットの携帯がバイブしていることに気付いた。

 取り出して開いてみると、日時指定のメールが一通届いていた。

アンナからだった。

送信の日付は昨日の夜。アンナと別れてから少し経ってからだ。

書かれていたのはたったの二文。

『エリナはあたしの一番の親友!じゃあね』

 親友。

何度もメールを読み返した。
読み返すうち、再び涙が溢れ出していた。

「……アンナ!」

 エリナは走って教室へ戻ると鞄を掴み、「どうしたの?」と目を丸くするクラスメイトを置き去りに学校を飛び出した。
 そんなエリナを温かな表情で多田が見送っていた。

エリナは教師に見つかる前に大急ぎでタクシーを拾い、病院へと急いだ。

総合病院の受付で、アンナの部屋を聞く。
その待たされる時間がもどかしい。

「あの、まだですか?」

「ごめんなさい、もう少し待ってくださいね」

看護師の言葉に更に苛立ちが募る。

ようやく部屋を聞き出したエリナは、バタバタと廊下を走った。

「走らないで下さい」

後ろから注意する声が聞こえた。

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