《MUMEI》

「…皐月、あたしに…許して欲しい?」


楓は言った。


「うん…。また、前のように、楓と笑いたい。」


私は楓の目をまっすぐみて、言った。

すると、楓がゆっくり近づいてきた。


「ごめんね…皐月。」


楓は近づきながら、話始めた。


「大声で怒鳴ったりして…。」
「こんな所にずっとこもっているから、ちょっとおかしくなっちゃった。」


楓は、私をそっと抱きしめた。

ふわりと香る楓の匂いが、私を安心させた。


「私こそ、ごめん。楓のこと、ちっとも分かってなかった…。」


私も、楓を抱きしめかえした。

すごく、幸せだった。


「楓と雪川さんと私…みんなで出られる方法を探そう…。」


これで、みんな幸せになれる…。


「…ここから、出る方法は、あのウサギが言っていたように…簡単だよ。」

「え?」


ブシュッ


視界が…

紅く…紅く…


染まった…

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