貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
河野透  2
8月15日、午後2時

 毎日のように鳴き続けている五月蠅い蝉の音色で目を覚ました。疲労と気怠さで、どうしても無気力感に浸ってしまう。部屋の時計を見ると短針が『2』を指している。…寝るも寝たなぁと思いつつ、「ぼふんっ」とベッドイン。再び、いざ夢の中へ…とも思ったが、全く眠れなかった。
 ボサボサの頭を更にボサボサにするかの如く掻き、大きな欠伸を吐きリビングに向かう。妹と両親が外出中なのか、やけに静かだ。俺は静穏な家に嬉しくなり、右の拳を強く握る。家に俺一人なんて滅多にないから。嬉しさをしみじみと感じながらも空腹を思い出し、リビングへと足を運ぶ。
 リビングのテーブル上には空の茶碗とラップを施された皿(野菜炒め)が置いてあった。…お袋ありがとおー!と感謝しつつ、野菜炒めと茶碗に盛り付けたご飯をレンジに入れ、温めボタンをonにした。

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