《MUMEI》
魔のチャイム
そんな願いは叶えられるわけもなく、無情にも時間は過ぎていく。
授業中、私はずっと柳田の背中を見ていた。
背が高いからなのか、少し猫背気味な背中。
華奢なわりに意外と広い背中…

この背中の主は、私の事をどう思っているのだろう。恋愛対象になってはいないだろう…。友達かな?いや、もしそれ以下だったら…ただのクラスメイトだったら…そんなの悲しすぎる…

自問自答しながら自らドツボにはまっていく。

―キーンコーンカーンコーン…―

悪魔のチャイムが鳴り響いた。
騒がしくなる教室。柳田はいつもの様に静かに教室を出て行った。

「友香…行ってくるね。」真由子も静かに、でも気合い十分な表情で意気込んでいた。
「うん…」
『頑張って』なんて言えない。ただもう、無理矢理笑顔を作る事で精一杯だった。

このままじっとしてたら気が変になる。

ごめん真由子!

私は心の中で何度も謝りながら、様子を見に行く事にした。

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