《MUMEI》

『──いいよっ』

『ぇ‥』





那加が、

振り向いた。





『ゎ‥』

『はいっ、これあげる♪』

『わぁ、きれい‥』

『これ、ひみつだからね?』

『ひみつ‥?』

『うん。ボクとナカのひみつだよ』

『──うんっ』





そうだ、

あの時‥。





あの時、

那加にあげた小石だ。





やっと思い出した‥。





「───────」





那加はずっと──

これを持っていてくれていたんだ。





こんな、

他愛もない物なのに。





窓辺に立って、

緑の小石を太陽に透かしてみた。





するとまるで、

エメラルドみたいに輝いて見えた。

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