《MUMEI》
ピンチはピンチ!
吾郎がベッドルームに入ってきた。裸だ。腰にバスタオルを巻いただけの格好でれおんを見下ろす。
れおんはしっかり両手で掛布団を握りしめた。
「どうしたの吾郎さん?」
「……」
着痩せするタイプか。吾郎の上半身はボクサーのように引き締まっている。力では勝てない。れおんは胸の鼓動が高鳴った。
「れおん」
吾郎が掛布団の上から乗っかってきた。れおんは本気で慌てた。
「何やってんの?」
吾郎はワンピースを見た。
「もしかして裸?」
「違うよ」
吾郎はいきなり布団を剥ぐ。れおんは両手で握って離さない。すると吾郎は下から剥いで、れおんのおなかを触った。
「キャア!」
両手を離して下半身をカバーすると、その隙に掛布団を下に引きずり下ろされた。
セクシーなれおんの下着姿。ブルーのブラとショーツ。怯えるれおんが魅惑的に映る。吾郎は完全にエキサイトした。
「れおん」
「待って吾郎さん」
「れおん!」
上に乗られた。れおんは吾郎の両肩を強く押して言った。
「吾郎さん落ち着いて、話があったんじゃないの?」
「そうだよ、君にお願いしたいことがある」
吾郎の息が荒い。れおんは生きた心地がしない。
「聞くよ」
泣きそうな表情のれおん。怖くてたまらない。吾郎は興奮した声で言った。
「れおん。好きなんだ。付き合いたい」
(嘘?)
こんなところで愛の告白。断るのは危険だ。
「考える時間をください」
「NOだね?」
「何言ってるの。考える時間をくださいって言ってるでしょう」
吾郎が体を浴びせて来る。れおんは両肩を強く押し返す。
「やめて吾郎さん怖いから。あたしのこと本気で好いてくれるなら、言うことを聞いて」
「答えはNOだね」
ナイフのような目。れおんは胸の鼓動がさらに激しさを増した。
「無理だよな。君は僕を危険人物だと思ってるから。あの診察室で会ったときから」
「!」
れおんは目を見開き、あまりのショックに言葉が出ない。しかし否定しなければ認めたことになってしまう。
「誤解よ、誤解」
「嘘をつくな」
「考えてみて。危険人物だと思ってたら、一緒にホテルに入るわけないでしょ」
吾郎はれおんの両手首を握ると、ベッドに押さえつけた。
「やめて」
この態勢は危険過ぎる。
「吾郎さん聞いて」
「聞くよ」
「帰り際、あたなが冷たい目であたしのこと見て、そのまま帰っちゃって。凄く気にしてたんだから。何で嫌われたのか、ずっと気になってました」
吾郎は肩にキス。恐怖だ。相手は全裸。れおんも下着。裸にされたら犯されてしまう。
「れおん」
「はい」
「クリニックで君を見たとき、天使かと思った。ひと目惚れだったんだ」
れおんは唇を奪われないように警戒した。
「それなのに君は、僕のことを危険人物を見るような目で見ていた」
「全然違うよ。あなたが殺すとか物騒なこと言うからびっくりしただけ」
れおんは必死だった。諦めるわけにはいかない。しかし吾郎は開き直った笑顔で迫る。
「ホテルの一室で好きな子と二人きり。こんなチャンス。一生に一度しか巡って来ないだろう」
そう言うと吾郎は、膝でれおんの股を刺激した。
「何してるの!」
れおんは両脚で防御しようとするが、間に入れられた膝をどかせない。
いちばん敏感なところをショーツの上から膝で攻められる。
れおんはもがいた。
「ちょっと、やめてください。何やってるんですか!」
吾郎は腕を離してショーツを脱がそうとする。れおんが両手で遮ると今度はブラを狙う。
れおんは怒って吾郎の顔を両手で押した。しかしまた手首を掴まれ、枕もとで腕をクロスさせられた。危ない。
吾郎は片手でれおんの両手首を押さえつける。
「やめて」
吾郎は自由になった片手でれおんの体を触った。
「やめて」
胸や下半身を触りまくる。だが蹴ったりして逆上させるほうが怖い。れおんは必死に哀願した。
「お願い、やめて!」

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