《MUMEI》
レイプ
このままでは本当に危ない。れおんはレイプされる恐怖に胸のドキドキが止まらない。
吾郎が片手でブラを狙う。
「やめてください」
思いきり激しく動いて遮る。すると下に手が行く。れおんは両脚を動かしたり手に膝蹴りをしながら暴れた。
「吾郎さん、やめてお願いだから」
よくドラマで、抵抗して首を絞められてしまう場面がある。だかられおんは、ひたすら哀願した。
「やめてください、お願いですから」
それでも吾郎は攻撃をやめない。完全に興奮している。
れおんは一か八か、怒鳴った。
「ちょっといい加減にしなさいよ、やめろって言ってんの!」
吾郎は一瞬雷に打たれように動きが止まる。だが逆効果だった。
「何大きい声出してんだよ!」
「キャア!」
乱暴にうつ伏せにされた。れおんは両手首を取られる。
「痛い痛い痛い!」
腕を後ろで捻られた。両脚をバタバタさせて暴れる。吾郎はれおんのお尻に乗ると、後ろ手にしてタオルで縛ろうとする。
「何するの、やめて!」
れおんは激しく抵抗した。両手首を縛られたら終わりだ。裸にされてしまう。
「やめて…あああ」
ギュッと縛られてしまった。万事休すか。
その状態で強引に仰向けにされる。れおんは吾郎のボディを蹴った。ベッドから転げ落ちる。
れおんは何とか立とうとしたが、吾郎が早かった。怒りの表情でベッドに上がると、拳を振り上げ、おなかに振り下ろす。
「やめて!」
寸止め。れおんは汗びっしょりだ。吾郎は笑顔で聞いた。
「本当に殴ると思った?」
「止めてくれると思いました」
「頭打ったよ」
「ごめんなさい」
知らない仲ではないのだ。吾郎に許してもらう以外に助かる方法はない。
しかし吾郎が迫る。
「抱きたい」
「イヤです」
「れおん」
「まずほどいて」
「本気で好きなんだ」
「だったらほどいて」
吾郎の顔色が変わった。
「何その態度?」
まずい。れおんは両手首に力を入れた。ダメだ。自力では外せない。
吾郎が膝の上に乗る。これで両手両足とも自由を奪われた。
「待って!」
両手がショーツを掴む。脱がされてしまう。
「お願い、やめて」
れおんはもがいた。取られてしまう。
「何、あたしをレイプするの!」
「え?」
「あたしのことレイプしようとしてるの?」
吾郎は慌てている。
「違うよ」
「違うでしょ。あなたそんな人じゃないでしょ?」
「……」
れおんは緊張なんてものではない。泣きそうな顔で吾郎を見つめていた。
「れおん!」
「キャア!」
押し倒されたと思ったが、抱きしめられただけだった。何もせずギュッと抱きしめる。動きはない。れおんはじっと待った。
「ごめん」
「じゃ、もうやめて」
「やめるよ。許して」
「許してあげるから、ほどいて」れおんはなるべく穏やかに言った。
「うつ伏せになって」
うつ伏せは怖いが、ほどいてくれると信じて、れおんはうつ伏せになった。
吾郎は優しくほどいてくれた。
あの連中に連れて行かれたら哀願は通用しない。吾郎だから心が通じた。
そう思い、れおんは優しい表情で興奮する吾郎をなだめた。
「吾郎さん、忘れるから、もうやめてね」
「ごめん」
吾郎は掛布団を体に掛けてくれた。
「ありがとう」
「れおんチャン。君の下着姿見て、頭に血がのぼって…」
「もういいよ。怒ってないから」
吾郎はベッドルームを出た。
れおんは深呼吸して落ち着こうと思った。本当に危なかった。まだ油断はできない。
結局朝方まで眠れなかった。
れおんは起き上がると素早くワンピースを着て、ホテルを出る準備を整えた。
「吾郎さん」
れおんに声をかけられ、ソファで寝ていた吾郎も起きた。
「朝ですよ」
「今何時?」
「4時半」
「まだ早いよ」
れおんは早くホテルから出たかった。
「吾郎さん。あたし空腹で。喫茶店で軽く食事したい。そこでお喋りしましょ」
作戦成功。ホテルを出られた。

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