《MUMEI》
バレてましたか…
「何で…わかったの?私が居るってこと…」
「ちらっと見えた。」
「そ、そうなんだ…」
確かに。真由子は扉に背を向けていたが、逆に柳田は正面を向いていたのだ。

私ったら…何たる不覚…

「別に入って来てもよかったのに。」
「だって…」
「だって…何?」
「真由子の邪魔しちゃ悪いと思って…」
「見てたんだ?」

あぁ!!自爆しちまった…
「ごめん…何か気になっちゃって。」
「友達が心配で?それとも俺の返事が気になった?」
シャレにもならないそのセリフを坦々と喋る柳田に腹が立ってきた。
人がどんな気持ちであそこにいたと思ってるんだ!!
「ど、どっちだっていいじゃん!!」
つい感情をぶつけてしまった。
「まぁね。」
私の急な怒りに動転することもなく、柳田はまた坦々と喋る。
「あ、そうだ!吉野さんに渡したい物があったんだよ」
「え?」
余りの不意打ちな展開に、私の心は脈打つ。
なんだろ?プレゼント?確かに今月誕生日だけど…まさか柳田が知ってるわけないだろうし…

妙に期待が膨らんだ。

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