《MUMEI》
妄想族
ガサガサと鞄を漁る柳田の手を見つめる。

何なに!?何くれるの?

まるで期待が風船の様に膨らんでいく。

「あ、あった。」
「何なに?」
「はい、コレ。この前のお礼。」
そう行ってビニール袋から取り出した物を私に差し出してきた。

「焼きそば…パン…?」
「うん。俺この前横取りしたから。そのお返し。」
「そう…」
私の期待の風船は、一瞬で弾け飛んでしまった。
「あれ?好きだったんじゃなかった?」
「う、うん!ありがと。」自分の妄想に恥ずかしくなって、今すぐここから去りたい気持ちだ。
「わ、私教室戻るわ!」
「今日は空弁しないの?」「約束あるからっ!」
「そ?」
「うん。じゃぁね!」
私は足早に屋上を出ていった。

やっぱ真由子から結果聞こう!

柳田に貰った焼きそばパンを握り締め、私は階段を駆け降りていた。

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