《MUMEI》
友人失格
「友香〜、何処行ってたのよ!」
教室に戻ると真由子が私の席に座っていた。
「パン買って来たの…」
柳田に貰ったものだとは言えないから、また嘘をつく。
「それより…どう、だったの?その……」
結果を聞くのは怖いが、気になって仕方ない。私は焦りを押し殺しながら聞いてみた。
「…………。」
「真由子?」
ハッとした。
俯く彼女を見て結果は一目瞭然だ。
「もしかして…」
「うん。フラれちゃった。」無理に明るく振る舞おうとする姿が痛々しい。
同情はしていたが、正直安堵の気持ちが大半を占めていた。
私は友達失格だ。
「なんかね、柳田君他に好き人いるんだって。」

え…?

「ごめ…っ。一人になりたい…」
「あ?!ちょ…真由子?」涙が出るのを堪えているのか、顔を伏せながら彼女は教室を出ていった。

柳田の奴、好きな人いるんだ……

安堵したのはほんの僅か。いきなり核爆弾を落とされたようだった。
一人残された私は居ても立ってもいられなくなって…
時計は12時50分を指している。授業開始まであと10分ちょっと。

真由子の事も気になるが、やはり今は…

私は奮い立ち、急いで屋上に向かった。

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