《MUMEI》

「……エエ!?」

俺の上で東屋が乙矢にちゅーされた……乙矢の喉仏がちょうど視界に入る。
東屋の頬が時折動いていた。



「――――ム゛〜〜〜〜!」

苦しそうな東屋の呻き声が聞こえた。

これ、まさか……舌入ってる?



「……ぷはぁ。」

操り人形のように東屋の頭が垂れた。


「せんせぇ、実戦だと俺は何点?」

余裕たっぷりに乙矢は聞いてきた。
手の甲で口の端の唾液を拭う様は俺の知っている乙矢ではない……。


「う゛う゛、ごめんなざい、もうじません……」

東屋が半ベソで謝った。
……可哀相になってきてしまう。


「はい、分かれば宜しい。二郎は口直しする?」

……いいです。
乙矢へ向かって首を振る。


「重症だな。東屋にまで回ったか……あ、東屋また二郎にこんなことしたら麻美にチクるから、俺と熱烈に愛し合ったこと。」


「……しねーよ!てか、そっちかよ!」


「何故、麻美?」

意味が分からないよ?


「それは置いといて。東屋は落としておいて。」

乙矢が話を逸らしたうえに東屋を振り落とす。
床で亀のように手足をバタバタさせた東屋がなんだか面白かった。


「さ、授業行こうか。」

東屋、完全に放置……

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