《MUMEI》

「ぇ」

「昨日、日向──ベッドの脇で寝てたんだから」

「ぇ‥」





なら、

何でさっき俺はベッドに‥?





「那加──」

「大変だったんだからね? 引っ張り上げるの」

「‥!?」





那加が俺をベッドに引っ張り上げたのか‥?





「──ありがとう」

「何にも出ないよ?」

「分かってる」





けど言いたい。





「ありがとう」

「うるさいってば‥」

「嫌じゃないだろ?」

「やだもん」

「───────」

「笑わないでよ」

「──スイマセン」

「だから笑わないでってばぁ」





俺が、

おかしくて笑ったんじゃなくて、

嬉しくて笑った事に──

那加は気付いてない‥

いや、

気付いているみたいだけど‥

何だかそう言いたいみたいだ。

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