《MUMEI》

「──ありがとうございます」

「ぃゃ‥」





全然お礼言われるような事してへんのやけど‥。





「なぁ卯月‥」

「はい‥?」

「最近大丈夫か?」

「はい、大丈夫です‥」

「何かあったら言うてな」

「──はい」

「‥ぁ‥、せや、これ‥」

「?」

「ストラップやねんけどな、良かったら──」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「卯月‥?」

「‥いいんですか‥?」

「ほんまはな、もっと早うに渡すつもりやったんけど──」

「‥可愛い‥」




卯月は、

手のひらに乗せてストラップを見つめとった。





それから、

両手にそれを包み込んだ。

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