《MUMEI》

「愛子、助けて」
肩の上で雁之助は呟く

「雁之助、私じゃダメなの」

「愛子好きです」

「私も」
――――何やってるんだ私こんなまやかしに誑かされるなんて……


「ちゅ〜して下さい」
目を閉じて私に近づいてくる。


オイオイオイオイ!
君一人のキャワイさで視聴率30%は越えますけど!

参ったね、
まやかしなのに、私の妄想なのに!
ドキがムネムネ…胸がドキドキするよ!

「愛子からして?」
色気たっぷりに唇を指にあてている。

……モチのロンですよ!

恥ずかしさより、興奮が先行して進んで唇を突き出していた。

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