《MUMEI》
同じ身長
志貴が苦笑したと同時に、他の六人は、同じ身長の俺


姫宮静の名前を出し、盛り上がる。


実際、俺と志貴は同じ身長だ。


ただし、今回は志貴がシークレットシューズを履いている為、並んだ時に、志貴の方が高くなっていた。


それに、悲しい事に俺の方が志貴より体重が軽く


更に、なで肩で、華奢だった為、同じ身長なのに小柄に見えていた。


(それに、今回は特に女らしい動きしてるし)


着物で静かにゆっくり動く俺に対し


志貴は常に洋装で、颯爽と歩く。


その為、観客も志貴を『男らしくかっこいい』と思っているらしく


志貴が登場すると、女性客がうっとりしていた。


そして、俺はと言えば…


「田中君、ばっちり可愛いわよ!
その調子でどんどん観客悩殺してね!」


嬉しくないほめ言葉を、部長からもらい、渋々頷いていた。


お互いを意識し始めた二人の静。


お互い、『同性愛』だと悩む静。


劇は、中盤を過ぎ、これから後半


「ハァ…」


ステージ脇で、執事から変態に変身する頼が見えた時


俺は、かなり大きなため息をついてしまった。

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