《MUMEI》
***
「ねぇ、倉本愛梨菜って子知ってる??」



ある教室の前を通った時に、そんな会話が聞こえてきた。



……クラモトエリナ??



そんな名前聞いたことねぇ…。


興味津々になった俺は、態とその場で携帯をいじくり始めた。



「あ〜、知ってる〜!!超真面目なドジ子チャンでしょ??」



……ドジ子チャンて……勝手にそんなあだ名つけちまっていいのかよ……??



「そうそう!!毎朝、必ず電信柱に頭ぶつけてる子!!」


「ぶつけまくってるのに、よく馬鹿にならないよね〜」



……毎朝、必ず電信柱に頭ぶつけてる??
どんだけドジなんだよ!!



「でさ、今時有り得ない格好!!いくら真面目だからって、膝丈スカートにきっちりボタン閉めちゃってンのとかヤバイ!!」


「だよね!!ダサすぎ!!」


「しかも、高1で処女でしょ??ヤバくない?」




―ショジョ…????




その言葉に反応した俺は、思わず笑ってしまった。




そして、




呟いた。













「いい奴発見♪」












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