《MUMEI》 「ぅゎぁ‥」 那加は、 桜を見上げて目をキラキラさせている。 けど、 ふっと目を細める。 「結構散っちゃったな──‥」 「もうすぐ春終わるもんな‥」 「〜〜〜〜〜〜‥」 「けど──」 「日向」 「ハイ‥?」 「プリン」 「ぁ‥、ぁぁ」 プリンと、 プラスチックのスプーンを那加に手渡す。 「那加、こうやって花見しながらプリン食べるの好きだったよな」 「日向と一緒なら、ね」 「俺と‥?」 「うん」 パクッ、 と一口食べてから、 那加は降ってくる花びらをぼんやり見つめた。 「日向がいないとつまんないもん」 前へ |次へ |
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