《MUMEI》
ラストシーン
藤宮静『姫!』


息を切らしながら、藤宮静が飛込んだのは


間宮の寝室だった。


間宮『どうやって、ここに?』


間宮も、無言の姫宮静も、目を丸くしていた。


藤宮静『貴方の悪事がバレたのですよ』


騒がしい人々の効果音が入る。


藤宮静『じきに警察がやってきます。姫をこちらに渡して下さい』

間宮『そんなに姫が大事?』


窮地に陥っているのに、間宮は妖しく笑う。


間宮『藤宮静が大事だって、どうする?』


問われて、姫宮静はうつ向く。


『嬉しいけれど、そんな資格無い』


藤宮静『いいから姫を離せ!』

間宮『私は姫を拘束してはいないよ。姫が行きたくないんだよ』

藤宮静『姫、何で…』


呆然とする藤宮静。


(うーわーどうしよう!)


この後、俺はある事をしなければならない。


しかし、俺はその時、顔を上げて改めて観客席を見てしまった。


かたずをのんで見守る人々の中には、もちろん知っている人間もいるわけで…


「祐也? 早く」


観客席に背を向けている志貴が、小声で急かした。


(だ、だって、だって)


俺は思わず首をフルフルと横に大きく振っていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫